カスタム ROM とは？ どんなことができるの？

なぜカスタム ROM が生まれたのか

もちろん、Android を搭載したデバイスは、ROM (ソフトウェア) を自由に書き換えることができたため、カスタムされた ROM というものが自然に生まれます。しかし、それだけではありません。カスタム ROM が発展してきた背景には、メーカーの Android デバイスに対する姿勢も関係していました。

メーカーが出荷したデバイスには、ユーザーが使用することのない不要なアプリケーションがあらかじめインストール (プリインストール) されていることがあります。プリインストールされたアプリは消すことができません。そのため、必要以上にストレージやメモリを消費してしまっていました。

そこで、カスタム ROM に書き換えることで、不要なアプリのない、快適なシステムを手に入れることができました。

他にも、メーカーやキャリアが設けた独自の制限 (テザリング) などを回避するためや、ソフトウェアアップデートを積極的に行わないデバイスのセキュリティ性向上などにも、カスタム ROM が利用されていました。

カスタム ROM の種類

カスタム ROM は様々な種類がありますが、以下の種類に分けることができます。主なカスタム ROM を、ここで紹介します。

• AOSP ベース : AOSP をベースとして、独自のカスタムを追加したもの。
  • Lineage (りねーじゅ) OS
  • Paranoid (ぱらのいど) Android
  • PixelExperience (ぴくせるえくすぺりえんす)
• LineageOS ベース : LineageOS をベースとして、独自のカスタムを追加したもの。
  • crDroid (しーあーるどろいど)
  • /e/
• ポート系 : メーカーが作成したカスタム ROM を他のデバイスで動作するようにしたもの。

カスタム ROM のインストール

カスタム ROM をインストールするには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

• デバイスのブートローダーをアンロックできる。
• adb と fastboot コマンドが使える環境がある。

カスタム ROM と Google アプリ

少し歴史の話をします。Android 初期の頃有名だったカスタム ROM として「CyanogenMod (さいあのじぇんもっど) 」がありました。

このカスタム ROM には、当初 Google のアプリも含まれていました。それに対して、Google は Google のアプリを収録することをやめるよう指示しました。2009 年頃の話です。

最終的に、CyanogenMod は Google アプリを完全に切り離すようになりました。それと同時に、Google アプリを、もとの ROM からコピーして CyanogenMod にインストールすることが認められました。

このような経緯があり、CyanogenMod や、その精神的後継となる LineageOS をはじめとするカスタム ROM には、Google アプリが含まれていません。

では実際に、カスタム ROM に Google アプリをインストールするときはどうするかというと、GApps (じーあっぷす) と呼ばれる Google アプリのパッケージを、カスタム ROM に追加でインストールすることになります。

「それってもとの ROM からコピーしてなくない？」と思う人も居るかもしれないわ。解釈として、「Google アプリが入っている端末が、GApps をインストールすることは黙認されている」と考えることができるわね。

このような歴史があり、多くのカスタム ROM は GApps をインストールすることで Google アプリを使用することができていましたが、近年のカスタム ROM、とくに、Google Pixel と似たユーザー体験を掲げる ROM などでは、はじめから GApps がインストールされていることが増えました (良いか悪いかは置いておいて)。

GApps がないカスタム ROM で Google アプリを使いたい場合は、別途 GApps をインストールする必要があります。GApps を内蔵するカスタム ROM では、その必要がありません (追加でインストールしてはいけません)。