Android のカスタマイズに関するありがちな勘違い
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Android のカスタマイズに関する、勘違いしやすいことをまとめました。
どんなスマホでも、ブートローダーアンロックできるわけではない
ブートローダーアンロックは、できる端末が限られています。全てのデバイスが、ブートローダーアンロックできるわけではありません。
もしカスタマイズ目当てで Android デバイスを買うのであれば、事前に調べてから買うべきでしょう。
どんなスマホにも、カスタム ROM があるわけではない
Windows のような OS は、ひとつのインストールメディアでどんな PC にでもインストールすることができますが、Android 端末では、デバイス毎にインストールできるファイルが決まっています。そのため、カスタム ROMは、インストールしたいデバイス “専用” である必要があります。
また、デバイス専用として完成されたカスタム ROM のほとんどは、個人の開発者が趣味で開発しているものです。カスタム ROM が公開されるかどうかは、その開発者次第です。継続して開発されるかどうかも、その開発者次第です。ないのであれば、諦めるか、自分で開発するしかありません。
「文鎮化」は、いわゆる “詰み” ではない
OS が起動しなくなることを「文鎮化」と言いますが、文鎮化の状態であっても、完全に詰み状態であるとは限りません。ブートローダーが起動できる場合は、イメージファイルを書き込みし直すことで、復活できる可能性があります。また、重度な文鎮化の状態であっても、EDL モードなどを介して、イメージファイルを書き込みし直すことができる可能性があります。
カスタム ROM やカスタムカーネルで、パフォーマンスが劇的に向上するわけではない
ストック ROM が最適化されていない・単純に重いなどという理由があって、シンプルなカスタム ROM の方が全体的にパフォーマンスが良い、ということはあり得ますが、だからといって見違えるほど動作が良くなるわけではありません。
カスタムカーネルについても同様で、デバイスに搭載されているハードウェアの性能を最大限引き出すことはできても、限界を超えるようなパフォーマンスをたたき出すことはできません。
また、過剰にパフォーマンスを上げるようなカスタムを行うと、発熱などで基板 (マザーボード) を損傷させてしまう可能性があります。特に、標準の状態で搭載されているチップの本来の性能よりも低いパフォーマンスを出すように “意図的に” 作られている場合、発熱の処理などに問題を抱えている可能性が高いです。
カスタム ROM をインストールした後、再度ブートローダーをロックすることができないわけではない
ほとんどのカスタム ROM では、デバイスにインストールした後にブートローダーをロックし直すことはできません。それはなぜかというと、ブートローダーをロックした状態で OS を起動するためには、OS のイメージファイルが正しく署名されていて、なおかつその署名が信頼できるものであるということをデバイスに書き込んでおく必要があります。
しかし逆に考えると、それができれば、カスタム ROM をインストールしている状態でも、ブートローダーをロックすることは可能であるということです。現に、プライバシー重視のカスタム ROM である GrapheneOS ⧉ や CalyxOS ⧉ はブートローダーをロックして使用することを前提としています。
専門的なことはともかく、「できないわけではない」のです。
では、なぜほとんどのカスタム ROM が “それ” をサポートしていないのかというと、それは単純に、何か問題が起きた復旧が難しいからです。
ちなみに、ちゃんと正しく必要な作業を行い、カスタム ROM がインストールされている状態でブートローダーをロックすると、アンロックされているときに見るブート画面とはちょっと違う画面 (警告メッセージ) を見ることができるわ。激レアかもしれないわね……。
アプリ単体でルート化することはできない
かつては Android の脆弱性を利用して、アプリ単体でルート化することができました。しかし、この方法が現在では通用しません。
現在では、主に「Magisk 」「KernelSU 」「APatch 」といったツールでルート化を行います。